自然の響きを可視化・可聴化するデジタルアート「Sound of Magma」

山崎緑が挑む、人間の第六感を刺激する新たな表現形式

自然現象によって生じる低周波音、その波動を可視化・可聴化し、人間が失ったとされる第六感を刺激するデジタルアート作品「Sound of Magma」。その創造者であるデザイナー山崎緑の挑戦に迫る。

自然災害が頻発する日本で、自然現象によって生じる低周波音(インフラサウンド)は注目を集めている。人間の耳には聞こえず、目にも見えないこの音波は、例えば火山の噴火などによって遠くまで伝わり、研究者たちは安全な距離から観察することが可能だ。

山崎緑は、東京大学地震研究所との共同作業により、このインフラサウンドを視覚化し、聴覚化する実験作品を生み出した。現代人が失ったとされる、自然を感じ取る能力、いわば第六感を刺激することを目指している。

この作品は、バヌアツ共和国タンナ島のヤスール火山の噴火時に測定されたインフラサウンドデータを、プログラム化されたソフトウェアを用いて可聴化し、視覚化したものだ。ビデオと静止画像の形でデジタルアートとして表現されている。

この作品の研究課題は、見ることも聞くこともできない自然現象の感覚的な伝達にデザインが何をもたらすことができるか、という点にある。研究者によって分析された自然現象を一般の人々に伝えることを目指し、参加者からのフィードバックを得て、視覚化・聴覚化を行った。

この研究での創造的な課題は、現代人が失ったとされる自然を感じる機能、いわば第六感を刺激するコミュニケーションの形をデザインすることだった。そのため、東京大学地震研究所の研究者が日々用いている先端的な分析技術を理解しながらシステムをデザインした。

この作品は、2023年にA' Computer Graphics, 3D Modeling, Texturing, and Rendering Design Awardでブロンズ賞を受賞した。この賞は、経験と創造力を証明した優れたデザインに授与され、芸術、科学、デザイン、技術のベストプラクティスを取り入れ、強い技術力と創造力を発揮し、生活の質の向上に貢献し、世界をより良い場所にすることを評価される。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Midori Yamazaki
画像クレジット: Image #1: Image Midori Yamazaki, Shape of volcanic wave, 2022. Image #2: Image Midori Yamazaki, Shape of volcanic wave, 2022. Image #3: Image Midori Yamazaki, Shape of volcanic wave, 2022. Image #4: Image Midori Yamazaki, Shape of volcanic wave, 2022. Image #5: Image Midori Yamazaki, Shape of volcanic wave, 2022.
プロジェクトチームのメンバー: Midori Yamazaki
プロジェクト名: Sound of Magma
プロジェクトのクライアント: Out of Blue


Sound of Magma IMG #2
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Sound of Magma IMG #5
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